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「あ、あー……あー」

 僕はいつもどおり発生練習をする。

 ヴァンパイアになってから眠らずによくなったし、おなかも空かなくなった。そのおかげで僕には時間がたくさんできた。そのたくさんできた時間で僕は歌を歌い続けた。

 最初のうちはよかった。ヴァンパイアになって成長が止まったから声変りに悩むことも、高い声の出しづらさに悩むこともなかった。

 ──でもそれだけだった。

 今より高い声は出せない。
 それなのに時が経てば経つほど、なぜだかわからないが歌えなくなっていた。
 歌おうとすると、声が出づらくなる。そのうえで歌おうとすると、痛みを感じる。

 最初は聖歌や讃美歌がいけないのだと思い、ほかの歌に変えてみたがそれもダメだった。歌いたい気持ちはあるに歌えない。その事実は僕にとって受け入れがたいものだった。

 ──いつしか、自分の選択は間違っていたのではないか、という気持ちに苛まれた。

「っ、あーあーーー……」

 僕はその事実を認めたくなくて。今日も歌えなくても歌を歌い続けた。