01
「あ、あー……あー」
僕はいつもどおり発生練習をする。
ヴァンパイアになってから眠らずによくなったし、おなかも空かなくなった。そのおかげで僕には時間がたくさんできた。そのたくさんできた時間で僕は歌を歌い続けた。
最初のうちはよかった。ヴァンパイアになって成長が止まったから声変りに悩むことも、高い声の出しづらさに悩むこともなかった。
──でもそれだけだった。
今より高い声は出せない。
それなのに時が経てば経つほど、なぜだかわからないが歌えなくなっていた。
歌おうとすると、声が出づらくなる。そのうえで歌おうとすると、痛みを感じる。
最初は聖歌や讃美歌がいけないのだと思い、ほかの歌に変えてみたがそれもダメだった。歌いたい気持ちはあるに歌えない。その事実は僕にとって受け入れがたいものだった。
──いつしか、自分の選択は間違っていたのではないか、という気持ちに苛まれた。
「っ、あーあーーー……」
僕はその事実を認めたくなくて。今日も歌えなくても歌を歌い続けた。